映画 #1153『キル・ビル Vol.2』

 

キル・ビル Vol.2』(2004年・アメリカ)

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原題:Kill Bill: Volume 2

監督:クエンティン・タランティーノ

出演:ユマ・サーマン
   マイケル・マドセン
   ダリル・ハンナ
   デヴィッド・キャラダイン
   ゴードン・ラウ
   パーラ・ヘイニー=ジャーディン  ほか

上映時間:2時間17分

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【あらすじ】

オーレン・イシイとヴァニータ・グリーンに復讐を果たしたザ・ブライドは、結婚式を襲撃した実行犯の残る2人、ビルの弟で現在は酒場の用心棒として働いているバドと、ビルの現在の愛人であるエル・ドライバー、そして結婚式襲撃の首謀者であるビルに復讐するため、まず手始めにバドが住んでいるテキサスへと向かう……。

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『Vol.1』の直後から続く続編。結婚式をかつての暗殺団仲間に襲撃されたヒロイン、ザ・ブライドの復讐のターゲットは全部で5人。前作では2人を倒したが、本作では残る3人、ビルの弟バド、ビルの現在の恋人エル、そしてかつての恋人ビルへの復讐を遂行していく。前作ではタランティーノの日本製ヤクザ映画への愛が爆発したが、今回はマカロニ・ウエスタンと70年代のショウ・ブラザーズ製香港カンフー映画への愛が充溢している。

 

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もともと1本の映画として製作されていた 『キル・ビル』。いわば起承転結の "転結"にあたる本作は、舞台を広大なテキサスの荒野と中国大陸、そしてメキシコへと移し、クライマックスへと怒涛の展開で加速していく。

今回は、各キャラの屈折した思いに深く迫る会話劇をじっくり展開。そこにドラマの醍醐味を感じさせる作りは、タランティーノの初期作品を思い出させる。全体的に静かな展開のなか、宿敵3人とのバトルにはテンションが凝縮され、なかでもトレーラーハウスでのエル・ドライバーとの女同士の闘いがド迫力。マカロニ・ウエスタンやカンフー映画へのオマージュもあるが、パロディ色は突出せず、あくまでも母と娘の愛にテーマが収束される。クライマックスでの宿敵ビルとの一騎打ちも、底辺に流れるのは「愛」だ。連作にもかかわらず、パート1からのムードの転調に、タランティーノの野心を感じてしまう。

 

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ジャンル:アクション

個人的満足度:☆☆☆☆☆