『エル・トポ』(1970年・メキシコ、アメリカ)
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原題:El Topo
出演:アレハンドロ・ホドロフスキー
ブロンティス・ホドロフスキー
デヴィッド・シルヴァ
ポーラ・ロモ
マーラ・ロレンツォ
ロバート・ジョン ほか
上映時間:2時間3分
【あらすじ】
黒装束の流浪のガンマン、エル・トポは、幼い息子を連れ砂漠を行く。行き着いた村は、山賊の襲撃による大虐殺の後で、あたり一面、血の海だった。エル・トポは、修道院に陣取る大佐らを倒すが、大佐の女に心奪われ、息子を残し、最強のガンマンを目指すべく砂漠にいる4人の銃のマスターに対決を挑むが…。
フリークス達の暮らす洞窟で長い眠りから目覚めた彼は、彼らを虐げられた境遇から救うべく再び現世と向き合うが、そこは彼の想像を超えた腐敗と混乱の世界だった……。
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チリ出身のアレハンドロ・ホドロフスキー監督が1970年に発表し、カルト的人気を誇るメキシコ・ウエスタン。タイトルは「モグラ」を意味する。
1971年1月1日、ニューヨークのエルジンにて何の宣伝もされないまま本作の深夜興行はスタートした。のちにミッドナイト・シネマ・カルトの先駆けとなる本作は、瞬く間にニューヨークを熱狂の渦に巻き込み、歴史的ロングランを記録。観客の中にはミック・ジャガー、アンディ・ウォーホールら当時の最先端をいくアーティストたちの姿が見受けられ、『イージー★ライダー』を撮り終えたばかりの、デニス・ホッパーとピーター・フォンダは次回作への出演の意思表示をした。なかでも、ジョン・レノンは劇場に4回も足を運ぶほど惚れ込み、本作と次回作の独占配給権を買い取ったほどの熱狂ぶりであった。
「もしフェリーニが西部劇を、クロサワがキリスト映画を撮ったらこうなったであろう。」と称され、その圧倒的世界観はすべての常識を超えていた。ドラッグ感覚の残酷で強烈な不条理さとファンタジックな要素が奇妙に混合され、一種の映像詩として映える逸品である。
ジャンル:西部劇
個人的満足度:★★★★★