映画 #1155『プレイタイム』

 

『プレイタイム』(1967年・フランス)

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原題:Playtime

監督:ジャック・タチ

出演:ジャック・タチ
   バーバラ・デネック
   ジャクリーヌ・ル・コンテ
   ジョルジュ・モンタン  ほか

上映時間:2時間4分

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【あらすじ】

アメリカ人観光客がオルリー空港に到着し、パリ観光へと出かけて行く。仕事の面接を受けようとするユロ氏は、近代的なビルディングの中ですれ違いを繰り返し、なかなか担当者と会うことができない。街をさまようユロ氏は、開店したてのレストランでアメリカ人観光客の女性バーバラと出会うのだが……。

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『ぼくの伯父さん』で名声を博したジャック・タチが膨大な時間と製作費をかけて挑んだ野心作で、全編を高画質の70mmフィルムで撮りあげたフランス映画史上屈指の大作コメディ。半年以上もの時間を費やしてパリ東部に建設した巨大セット「タチ・ビル」の近未来的な都市を舞台に、就職の面接を受けるためにやって来たユロ氏とアメリカ人観光客バーバラのすれ違いや出会いをユーモラスに描く。タチは本作でも「ユロ氏」を演じているが、ユロ氏は必ずしもメインキャラクターではない。

タチの没後20年となる2002年にはカンヌ国際映画祭で「新世紀修復版」が上映され、再評価が進んでいる。14年、タチの監督作や出演作をデジタル復元版で上映する「ジャック・タチ映画祭」でリバイバル上映された。

 

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「タチ・ビル」と呼ばれる、ガラスの超高層ビルや空港・博覧会場・アパート・オフィスなどのモダニズム建築群からなる2500平方メートルの巨大なセットがパリ郊外のヴァンセンヌ(Joinville-le-Pont)に作られ、高画質の70mmフィルムを使用して撮影が行われた。細部へのこだわりから全体の3分の1を撮り直したり、ほぼ全ての俳優のパントマイムをタチ自ら指示するといったこだわりもあり、最終的には撮影期間は丸2年、制作費も現在の額にして1540万ユーロ(当時の価格にして1093億円)というフランス映画では前例のない多額に及んだ。本作公開後、再利用の希望も叶わずタチ・ビルは取り壊され、タチは破産に追い込まれてしまう。しかし、タチ自ら「私の遺作」と語ったほどに、監督の文字通り全身全霊が捧げられたこの超大作は、多くの映画人から絶賛されている。

 

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ジャンル:コメディ

個人的満足度:☆☆☆☆☆