映画 #748『プライベート・ライアン』

 

プライベート・ライアン』(1998年・アメリカ)

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原題:Saving Private Ryan

監督:スティーヴン・スピルバーグ

出演:トム・ハンクス
   トム・サイズモア
   エドワード・バーンズ
   バリー・ペッパー
   アダム・ゴールドバーグ
   ヴィン・ディーゼル
   ジョヴァンニ・リビシ
   ジェレミー・デイヴィス
   テッド・ダンソン
   デニス・ファリナ
   ポール・ジアマッティ
   デイル・ダイ
   マット・デイモン
   ハリソン・ヤング
   シェーン・ジョンソン
   リーランド・オーサー
   マクシミリアン・マーティー
   ネイサン・フィリオン
   ディラン・ブルーノ
   アンドリュー・スコット
   ジョン・シャリアン
   ライアン・ハースト
   ハーヴ・プレスネル
   キャスリーン・バイロン
   ロブ・フリーマン
   ブライアン・クランストン

上映時間:2時間50分

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【あらすじ】

1944年6月。ノルマンディ上陸作戦は成功に終わったものの、激戦に次ぐ激戦は多くの死傷者を出していた。そんな中、オマハビーチでの攻防を生き延びたミラー大尉に、落下傘兵ライアン二等兵を戦場から救出せよという命令が下された。彼には3人の兄がいたが、全員が死亡。兄弟全てを戦死させる訳に行かないと考えた軍上層部の決定であった。ミラーは中隊から7人の兵士を選び出し、生死も定かでないライアン二等兵を探すために戦場へと出発するのだが……。

 

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スティーヴン・スピルバーグ監督が、第二次世界大戦時のノルマンディー上陸作戦を題材に、極限状態に置かれた兵士たちの絆と生きざまを描いた戦争ドラマ。本作は完全なフィクションであるが、話の基になったナイランド兄弟のエピソードが存在する。

 

スピルバーグにとって、『1941』『太陽の帝国』『シンドラーのリスト』以来4作目となる第二次世界大戦をテーマにした作品。彼は後に、第二次大戦でB-25の無線士として太平洋戦線に参加していた「父 アーノルド・スピルバーグに捧げた」、と語っている。

 

クランクイン直前にトム・ハンクスをはじめとした出演者たちは、リアルな演技をするために元海兵隊大尉のデイル・ダイの協力の下、ブートキャンプ同等の訓練を10日間受けさせられている。その内容は、教官がいきなり彼らに向かって発砲(空包)したり、当時の兵士達が携行していたものと同じ装備を背負って延々と行軍するといった厳しいものであった。ライアン役のマット・デイモンはこの新兵訓練のメンバーから意図的に外されている。これは10日間の過酷な訓練を通じて救出隊のメンバーにマット・デイモン(=ライアン二等兵)に対する反感を植えつけるためであった。訓練を終えたトム・ハンクスたちは、休む間もなく2週間にもおよぶ戦闘場面の撮影に臨んでいる。この過酷な進行によって撮影当初の和んだ空気が消えて荒んでいた彼らのところに、事情を知らないマット・デイモンが新兵よろしく颯爽と撮影現場に現れると、当初の意図通り険悪な雰囲気となった。これら一連の相乗効果によって演技はリアルで緊迫したものとなり、作品テーマの一部に組み込まれている。

また、映像もよりリアルなものにするためPOV方式を用いて撮影された本作は、敵の攻撃を受け手足が吹き飛ぶ、内臓が飛び出る、炎に包まれて爆死する、海水が血の色に染まるなど、戦場の現実を生々しく描き、これまでになかった戦争映画として高い評価を受けた。特に冒頭から約20分間にもおよぶオマハ・ビーチ(区域はドッグ・グリーンセクターだった)におけるノルマンディー上陸作戦を描く戦闘シーンは、映画史に残る20分間として知られている。

 

原題の Saving Private Ryan とは、「兵卒ライアンの救出」という意味。「プライベート」(Private)とは、アメリカ陸軍の階級名称で、日本語表記では「二等兵」および「一等兵」と訳される。袖に階級章があれば一等兵で、無ければ二等兵と訳すが文献により異なる。英語表記では二等兵一等兵ともにプライベートである。また、ジェームズ・ライアンの袖の階級章は、縫い付けたものではなく黒いインクで染めているので、パラシュート降下前後に昇進したものと考えられる。よって発見時の階級は、"PV2"と略称される「プライベート」である。DVDのパッケージの解説、およびallcinema・キネマ旬報では「ジェームズ・ライアン2等兵」としている。

 

1998年の全米年間興行成績1位を記録するヒット作となった。全世界年間興行成績でも『アルマゲドン』に次ぐ2位を記録している。全米では2億1000万ドルの興行収入を記録し、2014年に『アメリカン・スナイパー』が記録更新するまでは戦争映画としては歴代最高の全米興行収入を記録した。第二次世界大戦を題材とした映画としては現在も歴代最高の同成績である。

またアカデミー賞11部門にノミネートされ、監督賞、編集賞(本作は2006年現在、デジタル編集に拠らない作品としては最後のオスカー受賞作である)、撮影賞、音響賞、音響編集賞の5部門を受賞するなど、興行面でも全世界で大きな成功を収めた。

 

 

ジャンル:戦争

個人的満足度:☆☆☆☆★