『タッカー』(1988年・アメリカ)
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原題:Tucker: The Man and His Dream
出演:ジェフ・ブリッジス
ジョアン・アレン
マーティン・ランドー
フレデリック・フォレスト
マコ岩松
イライアス・コティーズ
ディーン・ストックウェル
ディーン・グッドマン
ロイド・ブリッジス
ニーナ・シーマツコ
クリスチャン・スレーター
ジェイ・O・サンダース
ドン・ノヴェロ
パティ・オースティン
上映時間:1時間50分
【あらすじ】
第2次世界大戦終結間近の1945年春、デトロイト郊外の小さな街。自動車工場を経営するプレストン・タッカーは、最愛の妻ヴェラや長男のジュニアをはじめとする4人の子供達と共に幸せな日々を過ごしていた。戦争が終結しアメリカが新しい時代を迎えようとすると、タッカーは自らの理想とする新しい自動車を作る決心をする。友人である元銀行家のエイヴ、技術者のエディやジミーの協力を得て、遂にプロトタイプ「タッカー・トーピード」を作り上げる。速さのみならず安全性や高級感をも求めた夢の車、トーピードは巧みな宣伝活動などでたちまち世間の注目を集めるが、当時アメリカを牛耳っていたフォード社を筆頭とする巨大自動車産業ビッグ3や、ファーガソン上院議員ら保守的な政財界はタッカーを叩き潰そうとするのだった……。
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『スター・ウォーズ』のジョージ・ルーカス製作総指揮のもと、『ゴッドファーザー』のフランシス・フォード・コッポラ監督がメガホンをとり、1940年代アメリカの巨大自動車産業界にたった1人で挑んだ男プレストン・トマス・タッカーの実話を映画化したヒューマンドラマ。『クレイジー・ハート』のジェフ・ブリッジスが主演を務め、『ニクソン』のジョアン・アレン、『ワン・フロム・ザ・ハート』のフレデリック・フォレスト、本作でゴールデングローブ賞助演男優賞を受賞したマーティン・ランドーら豪華キャストが共演。『地獄の黙示録』のビットリオ・ストラーロが撮影を手がけた。1988年製作・公開。2019年12月、コッポラ監督が自ら監修した4Kデジタルリマスター版でリバイバル公開された。
本作は、1940年代後半に実在した自動車、タッカー・トーピードおよび開発者のプレストン・トマス・タッカーの実話に基づいて描いた作品である。トーピードは51台(原型車として製造された1台目を含む)しか完成していないのだが、映画撮影当時で47台もが現存しており、愛好会の全面協力により現存している車のほとんどが動員されて劇中に登場している。刑事裁判で詐欺事件の被告人となったタッカーが最終弁論で陪審員席に向かって、自らの信じるアメリカの自由・正義・未来を訴え「もし大企業が斬新な発想を持った個人を潰したなら、進歩の道を閉ざしたばかりか自由という理念を破壊することになる。こういう理不尽を許せば、いつか我々は世界のナンバーワンから落ち、敗戦国から工業製品を買うことになる」という演説と、それを本気にせず笑う聴衆、という場面が印象的に描かれている(日米貿易摩擦、特に撮影された時代の1980年代に問題とされた貿易不均衡が背景にある)。
ジャンル:伝記
個人的満足度:☆★★★★