『シド・アンド・ナンシー』(1986年・イギリス)
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監督:アレックス・コックス
出演:ゲイリー・オールドマン
クロエ・ウェッブ
ドリュー・スコフィールド
デイヴィッド・ヘイマン
トニー・ロンドン
ペリー・ベンソン ほか
上映時間:1時間53分
【あらすじ】
1978年。ニューヨークのホテルの一室でナンシーという女性の遺体が発見され、彼女の恋人でセックス・ピストルズのベーシストだったシド・ヴィシャスが殺害容疑で逮捕される。シドは事情聴取を受けながらナンシーとの日々を振り返る──。
1977年のロンドン。アメリカから来たばかりのナンシーは友人の家でシドと知り合う。彼女はピストルズのことを知らなかったが、ライブでシドの過激なパフォーマンスにたちまち魅了される……。
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「セックス・ピストルズ」のベーシストで21歳という若さでこの世を去ったシド・ヴィシャスと、その恋人ナンシーとの破滅的な愛を、『レポマン』の鬼才アレックス・コックス監督が映画化。パンクを地で行く男シドを、ゲイリー・オールドマンが大幅な減量など徹底した役作りで熱演。タイトル曲を「ザ・クラッシュ」のジョー・ストラマーが、またオリジナル挿入歌を、「セックス・ピストルズ」のギタリストだったスティーヴ・ジョーンズや「ザ・ポーグス」らが提供している。シドの死後7年がたった1986年に製作され、日本では88年に劇場公開。2016年、ドキュメンタリー『SAD VACATION ラストデイズ・オブ・シド&ナンシー』の公開にあわせ、製作30周年を記念したデジタルリマスター版が公開された。
映画の内容は実際の事件に基づいてはいるが、なぜシドは恋人を殺したのかといった疑問に答えを出すわけではなく、ドラッグカルチャー、パンクミュージックといったものをちりばめながら、ひたすらに2人の恋愛を描くにとどまっている。ナンシーを強く求め、彼女に固執するあまり、周囲との軋轢を生み、どうにもならない現実から逃れようとドラッグに溺れていく。薬によって常軌を逸していくシド役を演じるゲイリー・オールドマンは、本作が映画デビュー作。その迫真の演技は一見の価値あり。
ジャンル:伝記
個人的満足度:☆☆☆☆☆