『ラストデイズ』(2005年・アメリカ)
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原題:Last Days
監督:ガス・ヴァン・サント
出演:マイケル・ピット
ルーカス・ハース
アーシア・アルジェント
ニコール・ヴィシャス
スコット・グリーン
ハーモニー・コリン
キム・ゴードン ほか
上映時間:1時間37分
【あらすじ】
深い森の中を、独り言をつぶやきながら、下向きがちにあてどなく散歩する若者がいる。彼は、麻薬の矯正施設を抜け出した、若者の間でカリスマ視されるミュージシャン、ブレイクである。彼は、現役の頃の自分を慕う人々がたむろする家に戻るが、誰も彼に近づこうとしない。時はゆっくりと、終結に向かって過ぎてゆく……。
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あるロックミュージシャンの死の直前の2日間を描く。物語はガス・ヴァン・サント監督がアメリカのグランジバンド、ニルヴァーナのリーダーであるカート・コバーンの死から着想を得ており、主演のマイケル・ピットが演じるブレイクは、カート・コバーンをモデルにしている。音楽監修は、ソニック・ユースのサーストン・ムーアが務めており、夫人のキム・ゴードンは一部のシーンに出演している。
ブレイク役マイケル・ピットの鬼気迫る演技に圧倒される。自身もバンドを組んでいるだけあって、思いついたようにギターやドラマを演奏するシーンが堂に入っている。そして絞り出すような歌声の迫力と悲壮感。ちなみに本作で披露される曲は、彼の自作である。
映画は、ブレイクの酩酊した心を表すかのように、何度か同じシーンが出てきては、その後に別の展開になるなど、イマジネーションを刺激して止まない。観ている間は混乱するものの、ラストシーンの余韻とともに、観た後にあれこれと考えさせる作品なのである。ソニック・ユースのメンバーが出演や音楽コンサルタントで参加している点は、音楽ファン必見のポイントだろう。
ジャンル:ドラマ
個人的満足度:☆★★★★