『ロード・オブ・ウォー』(2005年・アメリカ)
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原題:Lord of War
監督:アンドリュー・ニコル
出演:ニコラス・ケイジ
ジャレッド・レト
イーサン・ホーク
ブリジット・モイナハン
イーモン・ウォーカー
サンミ・ロティビ
イアン・ホルム
エフゲニー・ラザレフ ほか
上映時間:2時間2分
【あらすじ】
ニューヨーク育ちのソ連移民ユーリーは、家族が経営するレストランを手伝っていたが、あるきっかけから武器密売稼業を始める。レストランよりもこの商売に天賦の才があったユーリーは、弟ヴィタリーと組んで荒稼ぎ。やがてソ連崩壊、武器商人にとってのバブルが到来し、ユーリーは大金持ちに。以前一目惚れした美女を妻に娶ることもできた。一方、心優しいヴィタリーは兄と違って、この悪魔的な商売に次第に精神をすり減らしていく……。
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家族を犠牲にしながらも武器商人という因果な商売を続けざるをえない男の性をニコラス・ケイジが演じた、実話に基づくドラマ。監督は『ガタカ』『シモーヌ』のアンドリュー・ニコル。ユーリーの逮捕を狙うインターポールの刑事役でイーサン・ホーク、ユーリーが仕事に引き入れる弟役でジャレッド・レト、ベテラン武器商人役でイアン・ホルムらが共演。
「ひとりの青年がやがて"死の商人"となり、巨万の富を手にしていくが、同時に彼の身には危険が迫っていく」という本作のストーリーは、なんと実在する武器売買業者たちをモデルにしたといい、リアルかつ緊迫感たっぷり。まさに"事実は小説より奇なり"という予測不可能な物語が展開する。自分が売った武器が人の命を奪おうが気にしない主人公をクールな視点から見つめることで、見る者に多くを考えさせる知的エンターテインメントに仕上げた。
ウクライナから移民としてアメリカへ渡り、武器の密輸商人となったユーリーがたどる衝撃の運命。ソ連の崩壊により余った武器を、アフリカの独裁国家などに横流しするユーリーを、インターポールの刑事ジャックが追跡。そこに、ユーリーの妻や弟との悲痛なドラマが絡んでいく。危険な顧客を相手にしたユーリーの臨機応変の対応が見もので、ニコラス・ケイジが、本心を表情に出さないユーリーにハマリ役。「リベリア」といった実際の国名や「ビンラディン」、さらにはアメリカ大統領の責任にも言及するなど、あまりにも現実的な要素やセリフに、観ているこちらが「ここまで描いていいのか?」と心配になるほどだ。世界に存在する銃の数なども、恐ろしい現実を伝える。
ジャンル:クライム
個人的満足度:☆☆☆★★