『カモン カモン』(2021年・アメリカ)
*****
原題:C'mon C'mon
監督:マイク・ミルズ
出演:ホアキン・フェニックス
ウディ・ノーマン
ギャビー・ホフマン
モリー・ウェブスター
ジャブーキー・ヤング=ホワイト
スクート・マクネイリー ほか
上映時間:1時間48分
【あらすじ】
NYでラジオジャーナリストとして1人で暮らすジョニーは、妹から頼まれ、9歳の甥・ジェシーの面倒を数日間みることに。LAの妹の家で突然始まった共同生活は、戸惑いの連続。好奇心旺盛なジェシーは、ジョニーのぎこちない兄妹関係やいまだ独身でいる理由、自分の父親の病気に関する疑問をストレートに投げかけ、ジョニーを困らせる一方で、ジョニーの仕事や録音機材に興味を示し、二人は次第に距離を縮めていく。仕事のためNYに戻ることになったジョニーは、ジェシーを連れて行くことを決めるが……。
*****
『20センチュリー・ウーマン』『人生はビギナーズ』のマイク・ミルズ監督が、ホアキン・フェニックスを主演に、突然始まった共同生活に戸惑いながらも歩み寄っていく主人公と甥っ子の日々を、美しいモノクロームの映像とともに描いたヒューマン・ドラマ。『ジョーカー』での怪演でアカデミー主演男優賞を受賞したフェニックスが、本作では一転して子どもに振り回される役どころを軽やかに演じた。ジェシー役は新星ウディ・ノーマン。
突然始まった甥っ子との共同生活。
戸惑いと衝突、想定外から生まれた奇跡の日々。
『ジョーカー』で狂気を見事に体現しアカデミー賞主演男優賞に輝いたハリウッドの名優ホアキン・フェニックスが次なる出演作に選んだのは、狂気のイメージを覆すこんなにも優しい物語だった。「共感できる瞬間や感動がたくさん描かれている」と脚本に惚れ込んで本作への出演を決めたホアキンだが、そんな名優に引けを取らない天才ぶりを見せているのは、英国アカデミー賞助演男優賞にノミネートされるなど注目の新星ウディ・ノーマン。ホアキンとウディの微笑ましい掛け合いなど、"親密さ"がカギとなるこの物語で、ふたりの天才が見せるケミストリーは最大の見所だ。
監督・脚本は、自身の子供をお風呂に入れているときに着想を得たと語るマイク・ミルズ。ヴィム・ヴェンダースの初期のロードムービー『都会のアリス』にインスパイアされ、アメリカの4都市をめぐる主人公ジョニーの旅を、"ドキュメンタリー性を盛り込んだ寓話"として表現するという意図から、モノクロにこだわってつくられた。
また本作は、『ムーンライト』『レディ・バード』『ミッドサマー』など、創立からたった10年で映画史に残るアート系映画を次々と世に送り出している映画会社A24が製作。マイク・ミルズとは、アカデミー賞脚本賞にノミネートされた『20センチュリー・ウーマン』に続く2度目のタッグとなる。見たもの、感じたもの、観察したものを詰め込んだ控えめでありながら、エモーショナルな物語は、まさにマイク・ミルズ史上最も親密な最高傑作と呼ぶにふさわしい。
ジャンル:ドラマ
個人的満足度:☆☆☆★★