映画 #957『トワイライトゾーン/超次元の体験』

 

トワイライトゾーン/超次元の体験』(1983年・アメリカ)

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原題:The Twilight Zone:The Movie

監督:ジョン・ランディス
   スティーヴン・スピルバーグ
   ジョー・ダンテ
   ジョージ・ミラー

出演:ダン・エイクロイド
   アルバート・ブルックス
   ヴィック・モロー
   ダグ・マグラス
   チャールズ・ハラハン
   スキャットマン・クローザース
   ビル・クイン
   マーティン・ガーナー
   セルマ・ダイアモンド
   キャスリーン・クインラン
   ジェレミー・ライト
   ウィリアム・シャラート
   パトリシア・バリー
   ケヴィン・マッカーシー
   ナンシー・カートライト
   ディック・ミラー
   ジョン・リスゴー
   アヴィー・レーン
   ドナ・ディクソン
   ジョン・デニス・ジョンストン
   クリスティナ・ニグラ
   チャールズ・ナップ
   バージェス・メレディス(声)

上映時間:1時間41分

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【あらすじ】

第1話:人種差別主義者の体験する悪夢のような世界。監督は『ブルース・ブラザース』のジョン・ランディス

第2話:老人ホームを舞台にしたファンタジックなドラマ。監督は『宇宙戦争』のスティーヴン・スピルバーグ

第3話:超能力少年をめぐる女教師の恐怖。監督は『グレムリン』のジョー・ダンテ

第4話:飛行機恐怖症の男が遭遇する恐怖。監督は『マッドマックス』のジョージ・ミラー

 

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ロッド・サーリングが生んだ人気SFテレビドラマシリーズ『トワイライト・ゾーン」を、ジョン・ランディススティーヴン・スピルバーグジョー・ダンテジョージ・ミラーという当時最も波に乗っていた4人の若手監督を起用して甦らせたオムニバス映画。少年時代に番組に熱中したスピルバーグランディスがプロデューサーに回り、ダンテ、ミラーの2監督を誘って4話から成るオムニバス・ファンタジー映画として仕上げた。

第1話はランディスが担当。人種差別の激しい白人がユダヤ人、アジア人、黒人に間違えられて、あらゆる時代で己の卑小さを思い知らされる。スピルバーグが担当する第2話では、魔法の缶によって老人ホームの住人たちが今一度若さを取り戻して老いを考える。何でも願いが叶う超能力少年を描く第3話は、ダンテらしい毒気とコミック感覚が楽しい。クライマックスの第4話では、飛行機恐怖症の男性の恐ろしい高空での体験をミラーがダイナミックに描いた。

それぞれの監督たちの個性が鮮やかに反映された佳作。TV時代の音楽を担当していたJ・ゴールドスミスが再び招かれ、映画4本分の色彩豊かな音楽を披露したことでも注目を集めた。

 

 

プロローグ 『REALLY SCARY』

深夜、クリーデンス・クリアウォーター・リバイバルの「ミッドナイトスペシャル」を流しながら車を走らせる2人の男。突然カセットテープが故障し、カーラジオも壊れていたため音楽を聴けなくなった2人は話を始めるが、やがて男の1人が言う。「本当に怖いものを見たくないか?」

 

第1話「偏見の恐怖」 (『TIME OUT』)
人生のツキに見放された様な白人の男、ビル・コナー。全てに憤る彼のプライドは、他人種や異国民への酷い偏見と蔑視という形をとって現れる。バーで友人や黒人の客を前に悪態をつき、憎悪と怒りを覚えながら店を出たコナーの目の前に、見知らぬ町並みが広がっていた。

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第2話 「真夜中の遊戯」(『KICK THE CAN』)
舞台は老人ホーム「太陽の谷」。ここでの老人たちは全くの老人であって、未来への希望や生の喜びを失した人生を送っている。そこに新しく入居したブルーム老人が、懐からぴかぴかと光る銀色の缶を取り出し、「皆で缶蹴りをしたら、忘れていた喜びを取り戻せるかもしれない」と他の老人たちを誘う。そして真夜中、ブルームに起こされた老人たちは、規則を破って夜の庭で缶蹴り遊びを始めた。

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第3話 「こどもの世界」(『IT'S A GOOD LIFE』)
平凡な人生に変化を求める教師のヘレンは、道に迷い立ち寄った食堂で、1人の少年と出会う。誤って少年の乗る自転車に車をぶつけたヘレンは彼を家まで送るが、アンソニーと名乗る少年の家族はとても奇妙だった。

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第4話 「2万フィートの戦慄」(『NIGHTMARE AT 20,000 FEET』)
飛行機恐怖症のジョン・ヴァレンタインは、飛行中の旅客機内でパニックに襲われていた。気遣うスチュワーデスに大丈夫だと言ったものの、恐怖感は鎮まらない。落ち着くための喫煙は咎められ、新聞を開けば見出しは「史上最悪の飛行機事故」。周囲の客は彼の神経をいら立たせ、外では雷鳴が轟き、稲光が走る。気分転換に窓の外を覗いた彼は、異様なものを目にする。旅客機の主翼の上で、何かの生き物が動いている。雷光に照らされたそれは、人間に似た体形をしていた。やがてその生き物は、覗いているヴァレンタインに気づいて、窓のすぐ外に近づいてきた。窓ごしに見るその姿は、裸の身体に腕と足が二本づつ、顔には二つの目と一つの鼻、一つの口を持ち人間のようだった。だが人間が、空気が薄く気温も低いこれほどの上空で、なんの装備も付けずに生きていられるはずがない。その生き物は、自由に空を飛ぶことができた。周りの人々に話しても、そのときに生き物は隠れてしまい誰も信じてくれない。やがてその生き物は主翼の下に手をのばし、ジェット・エンジンを破壊し始めた。火花が散ってエンジン音が甲高く変わり、旅客機は高度を下げはじめる。恐怖におののいたヴァレンタインは、近くの席に座っていた警官の拳銃を奪い、窓ごしに生き物めがけて発砲した。破れた窓から吸い出されそうになり、上半身を機体の外へ突き出したヴァレンタインは、遂に生き物と間近に対峙する。その生き物は拳銃をかじってしまい、笑みを浮かべると、空の彼方へ飛び去ってしまう。旅客機はようやく着陸を果たし、ヴァレンタインは救急車に乗せられるが、機体の状態を確認しようとした地上係員たちは、異様に破壊されたエンジンを目の当たりにするのだった。

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エピローグ
ヴァレンタインを病院へ搬送する救急車の運転手はサイレンを止め、音楽を流し始める。曲はクリーデンス・クリアウォーター・リバイバルの『ミッドナイトスペシャル』。そして運転手が言う、「本当に怖いものを見たくないか?」と。

 

 

ジャンル:SF

個人的満足度:☆☆☆☆☆