『フォーリング・ダウン』(1993年・アメリカ)
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原題:Falling Down
監督:ジョエル・シュマッカー
出演:マイケル・ダグラス
ロバート・デュヴァル
バーバラ・ハーシー
レイチェル・ティコティン
チューズデイ・ウェルド
フレデリック・フォレスト
ロイス・スミス
ジョーイ・ホープ・シンガー
マイケル・ポール・チャン
レイモンド・J・バリー
D・W・モフェット
カリーナ・アロヤヴ
キャロル・アンドロスキー
上映時間:1時間53分
【あらすじ】
1991年6月12日。ロサンゼルスでは、午前中からこの夏一番の猛暑を記録。そんな時、ハイウェイでは工事による大渋滞が続いていた。中でも1人、極度にイラつく男がいた。"D-フェンス"と呼ばれる彼は、突然、車を乗り捨て狂ったように歩き始めた。次々と事件を巻き起こし、さらに過激になっていく彼の目的とは……。
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『依頼人』のジョエル・シュマッカー監督、『ダイヤルM』のマイケル・ダグラス主演による、バイオレンス・アクション。ストレスが男を狂気に駆り立てる様を描く。
エスカレートしていく怒りと暴力。主演のマイケル・ダグラスが、キレた男を迫真の演技で熱演。クライマックスまで息を抜けない緊張感が連続する、パニック・アクションの決定版。
生真面目といわれる人ほど、ひとたびキレたときにはコワイものがある。本作は、猛暑にうだるロスの街を舞台に、些細なきっかけと偶然の積み重ねの不幸からストレスを爆発させ正常な判断力を失った男が、別れた妻と暮らす娘に会うべく大暴走を始める物語である。
とはいえ、マイケル・ダグラス演じる主人公は、確かにひどく自己中心的ではあるものの、生来のアブない人ではない。むしろ、やたらとストレスの高いアメリカ社会の異常さの方が、ジョエル・シュマッカー監督によって浮き彫りにされていく。そんな暴走男と対決する、ロバート・デュヴァル扮する老刑事が「腰抜け」だと同僚たちから見下されるのも、その異常さの象徴だろう。彼の活躍ぶりが、「力こそ全て」を信条とした社会への、強烈なアンチ・テーゼになっている。決して他人ごととはいえないリアルな一編だ。
ジャンル:クライム
個人的満足度:☆☆☆☆☆