映画 #664『普通の人々』

 

『普通の人々』(1980年・アメリカ)

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原題:Ordinary People

監督:ロバート・レッドフォード

出演:ドナルド・サザーランド
   メアリー・タイラー・ムーア
   ティモシー・ハットン
   ジャド・ハーシュ
   エリザベス・マクガヴァン
   ダイナ・マノフ
   スコット・ドーブラー
   アダム・ボールドウィン
   M・エメット・ウォルシュ
   フレドリック・レーン

上映時間:2時間4分

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【あらすじ】

シカゴ郊外の住宅街。弁護士のカルビンは長男をボート事故で失って以来落胆したままの日々を送り、妻のベスは同じ事故で生き残った次男コンラッドへつらく当たっていた。そんなコンラッドも自分が兄の死の現場に居合わせたという事実の重みに耐えかねて自殺未遂を図り、心の病を治すための施設に入院。4カ月後、退院したコンラッドは自分の学校に再び通いだすが、カルビンはそんな彼を今度は精神分析医のセラピーに通わせ……。

 

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ジュディス・ゲストの原作を映画化した、ロバート・レッドフォードの監督デビュー作。まるで演劇を思わせるタッチで、タイトル通り"普通の"家庭に起こった出来事を、緻密に映像に刻んでいく。バッヘルベムの「カノン」をバックに、ジョン・ベイリーの捉えた冬の風景の点描が効果を上げている。

 

本作は、家族の断絶の問題を真摯な態度でわかりやすく描かれている。シカゴ郊外の弁護士の一家。半年前に長男が水死事故を起こして以後、父、母、次男の悩みが露呈し、心がちぐはぐになり、家庭は崩壊していく。気の弱い父親、冷淡で他人と協調できない母親、繊細で感受性豊かな次男で構成されるホーム・ドラマとなっている。地味ではあるが、見る者の心に確実に何かを残す秀作である。

 

第53回(1980年)のアカデミー作品賞、監督賞(ロバート・レッドフォード)、助演男優賞ティモシー・ハットン)、脚色賞(アルヴィン・サージェント)の4部門を獲得した。俳優としてのロバート・レッドフォードはまだアカデミー賞の演技賞を手に入れていない(アカデミー名誉賞は受賞している)が、演出家としてはこの処女作で作品賞、監督賞を獲得した。

 

 

ジャンル:ドラマ

個人的満足度:☆☆★★★