*****
原題:A Very Murray Christmas
監督:ソフィア・コッポラ
出演:ビル・マーレイ
マイケル・セラ
ジョージ・クルーニー
ディミトリ・ディミトロフ
デヴィッド・ヨハンセン
ジェニー・ルイス
ラシダ・ジョーンズ
エイミー・ポーラー
クリス・ロック
マーヤ・ルドルフ
ジェイソン・シュワルツマン
ポール・シェイファー
ジュリー・ホワイト
フェニックス
上映時間:56分
【あらすじ】
不運に見舞われながら、ホテルに居合わせた人々とともに歌や踊りで過ごす最高の聖夜 -- ビル・マーレイが豪華スターらと贈る、クリスマス・バラエティショー。
*****
ソフィア・コッポラ監督とビル・マーレイ。『ロスト・イン・トラスレーション』の名コンビが贈る、Netflixのオリジナル作品として製作されたミュージカル・コメディ(ユルめ)。
「メリー・クリスマス!」をもじって「マーレイ・クリスマス!」と銘打たれた本作は、"映画"というより"番組"と呼んだ方がしっくりくる。作品全体を使って、かつてアメリカのテレビで毎年恒例で放送されていた《クリスマス特番》にオマージュを捧げているからだ。
《クリスマス特番》とは、歌ありトークあり、豪華ゲストが一堂に会してクリスマスをお祝いするバラエティーショーのこと。そのホスト役をビル・マーレイが務めることになるのだが、なんと生放送の当日にNYで大雪! 交通機関がストップしてゲストが誰も来られないという窮地をマーレイは切り抜けられるのか?
と、そんな筋書きで物語は進んでいくが、いい意味でストーリーはあってないようなもの。『ロスト・イン・トランスレーション』に直結する「可笑しさと隣り合わせの喪失感」は本作にも備わっているし、ビル・マーレイという存在自体が涙も笑いも呑み込んだペーソスの塊なので、全編に「寂しいもの同士が肩を寄せ合っているような」優しさが宿っている。クリスマスに恥じない贅沢なキャストが揃っているが、実はゆるくてシケたほろ苦いムードこそが最大の魅力と言える。
マーレイ以上にすっ呆けた風情を漂わせるのは難しいが、誰もが力むことなく芝居しているのも微笑ましい。大物ではジョージ・クルーニーにマイリー・サイラス。ソフィア・コッポラ人脈からは従兄のジェイソン・シュワルツマンやソフィアの夫トーマス・マーズが率いるインディーズバンド、フェニックスの面々。クリス・ロックにマヤ・ルドルフら「サタデー・ナイト・ライブ」所縁のコメディアン勢。映画系ではマイケル・セラにラシダ・ジョーンズ。音楽畑ではデヴィッド・ヨハンセンにスティーブ・ジョーダンなど、幅広いジャンルをまたいだ顔ぶれを発見するだけでも楽しい。
ジャンル:ミュージカル
個人的満足度:☆☆☆★★