映画 #100『2001年宇宙の旅』

 

2001年宇宙の旅』(1968年・イギリス、アメリカ)

*****

原題:2001: A Space Odyssey

監督:スタンリー・キューブリック

出演:ケア・デュリア
   ゲイリー・ロックウッド
   ウィリアム・シルベスター
   ダニエル・リクター
   レナード・ロシター
   マーガレット・タイザック
   ロバート・ビーティ
   ショーン・サリバン
   ダグラス・レイン

上映時間:2時間20分

f:id:power-zero:20210926042648j:image

 

【あらすじ】

月に人が住むようになった時代。月のクレーターの地中から謎の石碑が発掘され、宇宙評議会のフロイド博士が調査に向かう。それから18カ月後、最新型人工知能「HAL(ハル)9000型コンピュータ」を搭載した宇宙船ディスカバリー号は、デビッド・ボーマン船長、フランク・プールら5人のクルーを乗せて木星探査に向けて航行していた。しかし、その途上でHALが探査計画に対して疑問を抱いていることを打ち明ける。ボーマンとプールはHALの不調を疑い、いざというときはHALの回路を切断することを決めるが、それを知ったHALは反乱を起こす――。

 

*****

 

極端に少ないセリフや固定した長回しのカメラワーク、「ツァラトゥストラはかく語りき」「美しく青きドナウ」をはじめとするクラシック音楽の使用などが斬新で印象を残す。撮影時に開発された新技術と、科学的裏付けの追求により人工知能HALの暴走がリアルに描かれている。第42回アカデミー特殊視覚効果賞受賞。

 

 

【起】
太古の時代、猿人はまだ他の獣と同じような存在だった。そこに謎の黒い石板(通称モノリス)が現れた。これをきっかけに、1匹の猿人が道具を使うことを覚える。この猿人は獣を倒し、他の猿人に対しても優位に立つこととなる。

2001年。宇宙への進出が進み、月に月面基地が建つようになった時代。ヘイウッド・フロイド博士がアメリカ合衆国から月面基地へ派遣される。彼がここにやってきた理由は、月で発見された謎の黒い石板「モノリス」だった。その石板は、400万年前に飛来した物と考えられた。アメリカ合衆国は「モノリス」の存在を世間から隠すため、月面基地で伝染病が発生しているとのデマまで流して、人々を月から遠ざけていた。フロイド博士の調査中、太陽光を浴びた「モノリス」は、木星に向けて謎の磁力を発し始める。

18か月後。木星探査のため、宇宙船ディスカバリー号が宇宙に出た。ディスカバリー号には人工知能HAL9000が搭載されている。これは自律的に考えることのできる最高の人工知能で、船の航行管理から目的地まで冬眠状態となっている3名の科学者の生命維持まで任されていた。デヴィッド・ボーマン船長とプール副船長は、船を無事木星まで届けるため冬眠には就いていない。彼ら2人は、謎の石板「モノリス」の存在を知らされていなかった。


 【承】
ボーマン船長と談話していたHAL9000は、突然月で発見されたという石板の噂を話し始め、今回の木星探査の目的について疑問を呈する。更にHAL9000は通信ユニットの故障を報告する。しかし通信ユニットに異常は見られず、ボーマン船長とプール副船長はHAL9000の異常を疑い始める。

2人はHAL9000に聞かれぬよう、小型ポッド内で、HAL9000の思考部を停止させようという話し合いを設ける。しかしHAL9000は彼らの口の動きを読み、2人の話し合いの内容を知ってしまった。

プール副船長は1人船の外に出て作業をしていた。しかしHAL9000の行動によって宇宙服が機能しなくなり、殺害されてしまう。更に、冬眠中だった3人の科学者達も、HAL9000に生命維持装置を切られ亡くなってしまう。ボーマン船長は宇宙に投げ出されていくプール副船長の姿を見て事態を察知、小型ポッドでプール副船長を救いに行く。しかしプール副船長は既に息絶え、ボーマン船長は彼の亡骸をポッドの手に抱えディスカバリー号の入り口へ帰って来た。


 【転】
ポッドに乗ったボーマン船長は、HAL9000に船の扉を開けるよう命令するが、HAL9000は応じようとしない。HAL9000はボーマン船長とプール副船長の口の動きから自分の思考部を停止しようとしていると知り、乗組員全員の殺害を試みたのだ。ボーマン船長はプール副船長の亡骸を放り出し、ポッドの手で扉を手動操作して開けた。そして爆風を使って、無理やりディスカバリー号へ帰還した。

ボーマン船長はHAL9000の中枢部へ向かい、彼の思考部を停止させる。HAL9000は「もう逆らわないからやめてくれ」と懇願したが、殺されかけたボーマン船長にそれを聞き入れるつもりはなかった。HAL9000の思考部はゆっくりと停止した。その時、突然1本のテープが再生される。それはフロイド博士からディスカバリー号の乗組員達に宛てた、木星到達時に再生されるはずのメッセージだった。これを聞き、ボーマン船長は木星に磁力を発し続ける謎の石板「モノリス」の存在、そして自分達の真の目的を初めて知るのだった。


 【結】
ボーマン船長1人を乗せたディスカバリー号は、木星の衛星軌道上に辿り着いた。そこには月で発見された「モノリス」と同じような形の、しかも月のものよりも更に巨大な、黒い石板が浮かんでいた。石板に遭遇したボーマン船長のポッドは激しく揺れ始め、突如眩い光に包まれる。

長い光の道を通り抜けたボーマン船長のポッドは、気づくと地球にあるようなとある部屋に辿り着いていた。ボーマン船長はポッドを出て、部屋に降り立った。その部屋には時間の概念がないのか、そこで生活するボーマン船長は、中年でもあり、老人でもあり、同時に死の間際の年齢でもあった。ついに死を前にしてベッドに横たわる年老いたボーマン船長は、部屋の中に浮かぶ黒い石板を目にする。その瞬間、ボーマン船長の姿は胎児の姿に変化した。ボーマン船長は既に、人類を超えた存在となっていたのだ。

月と地球が映し出される。人類の枠を超えた存在となったボーマン船長は、宇宙から地球の姿をじっと見つめるのだった。

 

 

ジャンル:SF

個人的満足度:★★★★★